福岡のランニングショップ 【ランザローテ】

 野山など自然の中を駆け巡るトレイルランニング。 街中の公園と違って起伏が激しいですから楽しむために体力が必要なことは確かです。 しかしながら初心者でも装備やルートを工夫して気持ちいいトレイルランニングをすることはできます。 トレイルランニングを始めようとした場合、まずどのようなところをポイントとし、どのような装備をしたら良いのでしょうか。 トレイルランニングを始めるにあたっての、基本的な装備と無理のない始め方をこちらでご紹介します。


トレイルランニングの装備

1.トレイルランニング用シューズ

 ロードランニングと同様に、まずはシューズが何より必要になります。 トレイルランニングシューズは登山用品メーカーのものとランニングシューズメーカーと大きく分けて2タイプに分かれます。 前者はモントレイル・ノースフェイス・バスク・サロモンなど、後者はアシックス・ニューバランス・アディダスなどです。

 ロード用のランニングシューズとつくりの違いは、まずオフロードでの食いつきが良いようにアウトソール(靴底)に溝やブロックを配しています。【図2】 つま先はつまずいても指を痛めないように丈夫にガードされ、ベロ(靴紐の下の甲の部分)の両脇にフィンがあり土小石の新入を防ぎます。【図3】 見た目には分かりませんが、ソールの内部に補強材が挿入され、石を踏んだ時などソールの突き上げから足を守るようにできたシューズもあります。

 ロード用のランニングシューズのようにメーカーや種類により履き心地はさまざまです。 アシックスやニューバランスなどランニング用品メーカーのトレイルランシューズはロード用のランニングシューズと履き心地が似ているのが特徴です。 クッションも柔らかめです。
 モントレイルやノースフェイスなどアウトドア用品メーカーのものは足を保護するプロテクションの水準が高い傾向があります。 その一方で軽さと動きやすさを考慮した商品もあります。
 トレイルランニングシューズと言っても、しっかり安定感のあるものから動きやすいものまでその作りもかなり違いますので、まずは使用目的や自身の走力を見極めて選ぶ必要があります。



【 図1 】


【 図2 】


【 図3 】

2.バックパック

 山の中に入るトレイルランニング、水分や補給食など必要なものの多くは自ら持参していかなければなりません。 通常はバックパックを背負いそこにコンパクトに必要なものを収納し入山します。 アップダウンの激しい自然の中を走ることが目的ですからなるべくコンパクトにしたいところ。 しかしながら必要な装備はある程度持参しないといけないので、そこにトレイルランニングならではの収納ノウハウが必要となります。

 トレイルランニング用のバックパックの特徴としてまず軽量に作られています。 少ない収納量のときのバックの隙間を圧縮できるシステムがあるものもあります。 さらに背中に背負いながら取り出せて補給できるような工夫がされいます。 例えば腰のベルトにはポケットが付けられ【図6】、水分補給についてもホース付きのハイドロブラダータンク【図8】を装備できます。 タンクがなくともペットボトルを担いだまま取れる収納のある商品もあります。【図6】 


【 図8 】

 トレイルランニング大会向けに走りを妨げない機能性と最低限の収納を目的としたバックパックもあります。【図7】 非常にコンパクトですし、胸のハーネスに大きな収納が付いて、走りに集中できるように設計されています。 容量のリッター数にして5リットル程度のものです。

 トレイルランニング初心者の人にお勧めなものが、容量8リットルから12リットル程度のバックパックです。 大きすぎずかつ一日がかりのトレイルランニングにも必要な装備が収納できるサイズです。


【 図4 】

 
【 図5 】


【 図6 】


【 図7 】

3.ウェアー&タイツ

 トレイルランニングを行う上で機能的にも適したウェアー選びとしてまず重要なのは下半身です。 不整地でアップダウンが激しく膝と股関節を大きく動かすことと足腰にかかる負担が大きいこと、さらに植物や岩など足回りの環境が厳しいことから吟味が必要です。
 基本的にはロングを、そして動きやすさを考慮しタイツがベストとなります。 タイツも膝や腰のサポート機能のついたもの、着圧の強いコンプレッションタイプのものなど機能性タイツが多く出揃っていますので、そのあたりの商品がお勧めです。 動きやすさや安心感が違います。 このタイツに加えトランクスタイプのパンツの重ね着がファッション的にも一般的となってきています。
 ハーフパンツのみのファッションも一部の流れとしてありますが、安全面からはあまり適当とは言えません。 最低でも膝を保護する7分丈タイツとの併用がよいでしょう。【図9】 タイツでなくロングパンツの場合は、汗をかいたとき膝の動きが制限されるのでのんびり進むラン&ハイクにはよいでしょう。

 上半身は基本ロードランニングのものと兼用可能です。初心者は、防寒対策を慎重に見極めることと怪我の防止も考えて、携帯用含めたウェアーチョイスをしていきましょう。







【図9】

4.トレイルランニング用ポール

 こちらはオプション的な位置づけになります。 トレイルランニングによる体の負担を軽減しより楽しく走るためのグッズです。 入山口まで車で行く場合はノルディックポールなどでも十分機能します。 トレイルランニングポールとノルディックポールの違いは折りたたんだ時のサイズと軽さです。 トレイルランニング用はバックパックにも収まるサイズまでコンパクトにすることができます(約30cm)。
 登山用のものよりもかなり軽量ですので、グループで入山するとき、誰かが万が一捻挫したときの事も考えて携帯するのにもお勧めできます。

 【図11】

 ポールを使用した場合の違いは何かと言いますと、ズバリ足で支える荷重を分散できることです。 これによってかなり膝や足の負担が軽減され、軽快に山を走ったり登り下りできます。 トレイルランニングがより楽しく行えます。

 【図12】

 ポールが無いと一歩一歩片足で踏ん張ることになりますが、ポールを持つと2点3点支持で安定性が格段に高まります。 足腰の鍛えられたベテランよりも初心者に向いている装備ということが言えます。
 トレイルランニング大会に参加する場合は、大会によって使用を禁止している場合もありますので事前に確認が必要です。

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【 図10 】

トレイルランニングの世界

5.補給食

 補給手段のほとんどない山中ですから、当然ながら必要なドリンクと補給食は持参が必要です。 必ずしも携帯用の補給食でなくてもいいのですが、軽量かつ高カロリーなものなので、非常の場合やトレイルランニング大会の時に役立ちます。
 ドリンクについては持参する量に注意が必要です。 気温が5度でも違うとかく汗の量が変わりますので、特に高温の夏場に持参するドリンク量については十分な計算をした上で持参し入山しましょう。汗は上りでたくさんかきますので、高低差も考慮必要です。夏場であれば、1時間に500ml~1リットル程度消費することもあります。
 山中で水を補給できる場所も事前に確認が必要です。 ただし時季により水が枯れる場所もあるので、平常時の給水として100%あてにすることは止めておきましょう。

 
【図13】

6.非常用携帯品

 簡単には下山できない山の中ですから最低限のケア用品は携帯しましょう。 つまずいて転ぶことは当たり前で、時には捻挫することもあります。 バンドエイドやテーピンクテープ、洗浄用にドリンク1本はミネラルウォーターを準備しておきましょう。
 慣れたところでも不測の事態に備えて地図は持参し、自分の現在位置を確認しながら進みましょう。 登山経験のある人はともかく、普段公園や街中をランニングしているランナーの場合『現在位置を確認しながら』ということが案外できないもの。 いくら持参したとしてもそれができないと地図が役にたちません。 少しずつ地図を利用することにも慣れていきましょう。
 簡易的なものですが、天候の急変時にも重宝しますので、マラソン大会でも使われているビニールポンチョは持っておくと安心です。【図16】


【図17】


【図14】


【図15】


【図16】


7.その他

  • ソックス・・・シワができにくいフィット感が高いものが理想。 トレイル用はつま先が丈夫。
  • グローブ・・・岩場をつかむんで登る時や転んだ時の怪我防止に。指先の出たタイプもある。
  • ゲーター・・・シューズ内への小石や砂の侵入を防ぐ。
  • 携帯電話・・・非常時のために。
  • 軽量携帯ウィンドブレーカー・・・折りたたんでもコンパクトになる軽量薄手のもの。


それではここから、トレイルランニングの始め方についてお話ししていきます。

トレイルランニングの世界


トレイルランニングの始め方

1.トレイルランニング始める前に・・

 トレイルランニングを始める前に頭で整理して欲しいことがあります。街中や公園などのランニングと違ってトレイルロードはいくらでもあるわけではありません。走りやすくフラットで分かりやすい道はなおさら限られ、そのようなルートには入山者も多いです。さらに、道幅も一人通れる程度のところがほとんどで、山に入ったら譲り合いの気持ちを持って、他の登山者やハイカーとお互い気持ち良い時間を過ごしてください。
 山は制限されたルートと環境の中で、歩く人や立ち止まって自然の空気を楽しんでいる人と共存しなければなりません。街中よりはもう一歩進んで、思いやりと譲り合いの気持ちが必要な場所と言えます。
 公園やマラソン大会で連続して走るようなイメージは捨てて、出会い頭でもすぐに止まれるような走りをしましょう。すれ違いや追い越しのときはより慎重に一声かけて進みましょう。 入山者の多い日にちや曜日を避けることも、場合によっては必要です。

【山の中での注意点】

  • 山の中は全てにおいて譲り合いと思いやりの気持ちで
  • 歩いている人や立ち止まっている人を追い越したりすれ違ったりは一声かけてゆっくりと
  • 登り優先が基本(ケースバイケース)
  • 登り下りの傾斜がある危険な場所で追い越しをしない
  • ポールを使うときは後方に要注意


2.近場の山へ行ってみよう

 いきなりトレイルランを始めようとしても、どこに行ったらよいか分からないという声を耳にします。あまり堅苦しく考えず『とりあえず現地へ行ってみよう』が勧めです。まずは数回、山に慣れる目的で近場の山へ行ってみましょう。自然を楽しむのもトレイルランニングのひとつの目的ですから、走りにこだわらず最初のうちは歩きでもいいから山を楽しんでみましょう。近場で人の多く入る山でしたら、道もしっかり出来上がっていて看板も設置されているはずです。迷う心配もありませんから、不安なく山に入っていけます。

 ランニング向きの走りやすコースは、入山者が多くて道が分かりやすい必要があります。入山口が見つかったならば、そこからランニング向きのフラットなコースを探してみましょう。山頂へ向かう登山道の途中から分岐して走りやすいルートが始まっているケースもあります。登山口にルートマップなどの看板が設置された山も少なくありません。詳しいものもありますから、現地のルートマップと案内看板を大いに活用してみましょう。 


登山口に設置された看板は重要な情報源


3.ネットと地図の情報からルートを探してみよう

 最近はインターネットで数多くの登山情報を探せるようにもなってきました。登山者が残した最新の情報は大変参考になります。さらに国土地理院の地図や登山マップからは登山ルートの情報も得られます。地図から高低差の少ないルートを探せば走りやすいルートを効率良く探せます。

 とは言っても、気持ち良く走れるトレイルランニング向きのルートは決して多くはありません。地図で探しても現地に行ってみないとルートの状況は分かりません。入山者が少なくルートが分かりにくい、草が茂って走りにくい、などのケースもよくあります。実際に現地に行ってみないと分かりませんから、ルートを探すことも楽しみのひとつと捉えて、時間をかけてコース開拓してみましょう。


4.福岡近郊のトレイルランニングできる山

 福岡市近郊で、トレイルランニングを楽しめる比較的初心者向きの山をご紹介します。( )内は目印となる入山口です。上記で述べましたように、詳細は入山口現地のルートマップや登山地図などで確認していきながら開拓していきましょう。 ランザローテイベントでもこれらの山々へご案内しています。

  • 油山(油山市民の森駐車場)
  • 四王寺山(大野城総合公園or西鉄太宰府駅)
  • 牛頸山&黒金山(牛頸林道orいこいの森キャンプ場)
  • 高祖山(今宿屋外活動センター)
  • 宝満山&三郡山(竈門神社)
  • 三日月山&立花山(三日月山霊園)

  
左から、牛頸山(大野城市)、四王寺山(大野城市&太宰府市)、油山(福岡市)


最後に

 自然の中のランニングは少しスリリングで全身を使うアスレチックなものです。通常のランニングやマラソンとは違う魅力があります。ですが、コース状況や気象変化の激しさ、補給のしにくさなど、山の中のトレイルランニングはロードランニングとは環境が大きく違います。その認識をしっかり持って最低限の準備をして入山しましょう。予期しない状況になった場合はすぐさま引き返すことを頭に入れて、安全で気持ちの良いトレイルランニングを楽しんでください。




ランザローテ トレイルランニングイベント(九州福岡)


ランザローテでは福岡近郊と北部九州のトレイルルートをご案内するイベントを開催しています。
店頭ではバックパックやトレイルランシューズも取り揃え、皆さまのご来店をお待ちしております。


 



【 トレイルランニング装備と始め方 】